親の認知症で資産凍結? 家族信託で知らないと損する5つのメリット
親が亡くなった後の相続について考えたことがある方は多いでしょう。しかし、それよりも前に起こりうる、もっと深刻な問題があることをご存知でしょうか。親が認知症によって判断能力を失った場合に「資産凍結」されてしまう可能性があるんです。
データによると、認知症を発症してから相続が発生するまでの期間は平均で7〜10年にも及びます。この長い間、親の財産が動かせなくなるという事態は、家族にとって大きな負担となり得ます。
でも大丈夫。事前に対策をしておくことで、この資産凍結を避けることができますが、知らないと大変なことになりかねません。それが「家族信託」です。
親が元気なうちに、または認知症の傾向がでてきたら、早めに動くことで家族信託を利用できます。
- 親の認知症が深刻化する前に対策をしたい
- 財産が凍結してしまう不安をなくしたい
- 第三者ではなく、家族で財産管理をできるようにしておきたい
- 資産の内容を明確にし、親族間での争いを避けたい
今回は、この家族信託について、高齢者介護の専門家による監修のもと、わかりやすく解説します。
この記事は、某県に高齢者介護施設を複数運営しているささ美の夫、ムネ夫が監修しています。
- 介護事業法人の経営者
- 入居相談300件以上
- 介護付きホーム施設長も経験あり
- 社会福祉主事任用資格保持
- 介護職員初任者研修終了
介護施設に入る前に、不動産を売却したり財産を整理される方も多く、ご本人やご家族の相談を受けることも多くあります。
死後より怖い!認知症による資産凍結
「資産凍結」と聞いても、ピンとこないかもしれませんね。これは、たとえば親が存命中に認知症などで判断能力を失ってしまった場合に、親名義の資産が文字通り凍結され、家族であっても自由に動かせなくなる状態を指します。
認知症発症から相続発生までの平均期間:7〜10年
親が認知症を発症してからの期間は長ければ10年以上。何も対策をしていない場合、お金に関してさまざまな問題が発生する可能性があります。
親の資産が凍結されるとどうなる?
具体的には、以下のような事態が発生します。
• 預金がおろせなくなる:たとえ親の入院費や施設費のためであっても、口座凍結されたら銀行は原則として引き出しを認めません。明らかに判断能力が低下しているとみなされれば、たとえ本人であっても、引き出しを拒否されることがあります。
つまり、クレジットカードを利用できないのはもちろん、銀行からお金を引き出せなくなったり、月々の引き落としもできなくなるんです。
• 不動産の売却や管理ができなくなる:親の介護費用や介護施設入所の費用を捻出するために実家を売りたくても、本人の意思確認ができないため売却できません。
• 証券の売却や解約ができなくなる:株式や投資信託などの投資をしている場合、株価が大きく変動しても、売却して利益を確定したり、損失を抑えたりすることができなくなります。
これらの問題が発生すると、親の介護や生活のために立てていた資金計画が根本から崩れてしまいます。さらに、この段階に至ると、生前贈与などの相続対策も一切できなくなってしまうのです。
成年後見制度の課題
資産凍結への対策として知られているのが「成年後見制度」です。しかし、この制度にはいくつかの大きな課題があり、必ずしも家族の望む形になるとは限りません。
• 8割の家族が後見人になれない:裁判所に申し立てると、実に80%以上のケースで、弁護士や司法書士といった専門家が後見人に選任されます。家族が財産を管理したいと願っても、その通りにはなりにくいのが現状です。
うちも、私が父の後見人になればいいやと思っていましたが、そう簡単にはいかないみたいです。
• 専門家への費用が高額:専門家が後見人になると、月々2万円〜6万円の報酬が発生します。仮に月5万円だとすると、10年間で合計600万円もの費用がかかる計算になり、大切な財産が目減りしていきます。
• 財産管理が厳格:後見人の財産管理は裁判所の監督下で行われるため、家族の意向に沿った柔軟な対応が難しくなります。介護施設を選ぶ際も状況によっては、本人や家族が想定していた施設よりも、費用面を重視した選択がなされることがあります。その結果、家族がもどかしさを感じるケースも現実には存在します。
一度この制度を利用すると、ご本人が亡くなるまで原則としてやめることはできません。家族の想いとは裏腹に、費用と制約の多い管理が長期間続く可能性があるのです。
そこで登場するのが「家族信託」です。これは、親が元気なうちに「ご家族に財産管理を信じて託す」ための契約です。
家族信託とは

家族信託とは、自分の財産の管理や処分を、信頼できる家族に託すしくみのことです。
認知症による判断能力の低下や、高齢になってからの財産管理の不安を解消するために利用が増えている制度です。
信託契約を結ぶことで、財産の名義や管理の方法をあらかじめ決められるため、将来のトラブルを防ぎつつ、柔軟に財産を活用できます。
家族信託の基本的な仕組み
家族信託は、家族同士で「信託契約」を結ぶことで始まります。
財産を持っている人(委託者)が、財産の管理を任せたい家族(受託者)に託し、その財産から得られる利益は委託者自身や家族(受益者)が受け取る、という流れです。
信託財産は、受益者(=親本人)のためだけに使うことが原則です。
例えば、
親が自宅や預金を「管理してほしい財産」とし、
子どもを受託者に指定して管理を任せます。
その財産から生まれる利益(家賃収入など)は親が受け取ります。
契約内容は自由度が高く、家庭の事情に合わせて細かく決められる点が特徴です。
家族信託に登場する3つの役割
家族信託には、次の3つの登場人物が存在します。
●委託者(親など):財産の持ち主であり、管理を任せる人です。多くの場合、親が該当します。
●受託者(子どもなど):委託者から財産の管理・運用を託される人です。子どもが選ばれるケースが一般的です。
●受益者:財産から生じる経済的利益を受け取る人です。家族信託では 「委託者=受益者」 とするケースが多く、財産の利益は引き続き親が受け取れるように設計します。
このように役割を分けることで、財産を管理する人と、利益を受け取る人を明確にし、トラブル防止につながります。
家族信託で扱う財産と手続き
家族信託で扱える財産は多岐にわたります。主なものは次のとおりです。
●不動産(自宅・賃貸物件など)
→契約後は不動産の名義を「委託者」から「受託者」に変更します。
●預金(生活費・介護費などに使用)
→受託者名義で「信託用の銀行口座」を作り、財産を移します。
●現金・有価証券など
信託契約を作成した後は、不動産の登記変更、口座開設などの手続きを行い、管理の体制を整えていきます。
信託期間中の財産の管理方法
信託が始まると、財産の管理・運用は受託者が行います。
具体的には次のような業務があります。
| 不動産の場合 | 売却や賃貸の判断 建物の修繕などの管理 家賃収入の受け取り |
| 金銭の場合 | 信託口座での預金管理 親本人の生活費・介護費用の支払い |
受託者には、年1回、財産の状況を委託者や受益者へ報告する義務があります。
受託者の義務と税務手続き
受託者には、信託法で定められた重要な義務があります。
- 帳簿・書類の作成:財産の収支や残高がわかる帳簿の作成
- 年1回の報告義務:報告書類の作成と受益者への報告
- 書類の保存義務:作成した帳簿や書類の10年間の保存
- 税務手続き:(信託財産から年間3万円超の利益が発生した場合)信託計算書の税務署への提出
大変に感じるかもしれませんが、この後紹介するアプリなどを利用すればそこまで負担ではありません。
家族信託の簡単な事例①:預金の管理を子どもに任せるケース
親に3,000万円の預金があり、そのうち2,500万円を信託口座に移して子どもが管理します。
信託口座からは、
●毎月20万円を生活費として親に渡す
●家電の買い替えやリフォーム代は、その都度信託口座から支払う
この仕組みなら、高齢者を狙った詐欺や無駄な出費を防げるうえ、親が認知症になっても安全に財産を守れます。
家族信託の簡単な事例②:施設入居に備えて自宅を管理
親名義の自宅を信託し、子どもが管理します。
将来、親が施設に入ることになれば、
●子どもが自宅を売却して施設費にあてる
●売却代金は信託口座で管理する
認知症になると不動産の売却はできなくなるため、家族信託によって将来の選択肢を残せるのがメリットです。
家族信託の簡単な事例③:入退院が多くなった親のお金を安全に管理
親の預金1,500万円のうち1,000万円を信託し、子どもが管理します。
子どもは信託口座から、
●入院費・薬代・介護サービス費を支払う
●生活費として毎月10万円を親に渡す
この仕組みにより、使途不明金が発生したり、親が体調不良の中で無理に金融機関に行く必要がなくなります。
家族信託のメリット5つ

成年後見人制度ではなく家族信託を利用するメリットを5つ挙げます。
- 認知症でも資産凍結しない
- 家族間トラブルを防げる
- 費用を抑えられる
- 名義を変えても贈与税がかからない
- 生前対策と相続対策をひとつで完結できる
この5つのメリットについて、1つずつ説明します。
認知症でも資産凍結しない
家族信託の最大のメリットは、認知症になって判断能力が低下しても、財産が凍結せずに管理・売却・運用を続けられることです。
成年後見制度では、本人の財産を守ることを優先するため、不動産の売却や賃貸借契約、リフォーム、建替などの積極的な判断は基本的にできません。
一方、家族信託では信頼できる家族(受託者)が本人に代わって手続きできるため、介護費用捻出のための自宅売却や、老朽化物件の入れ替えなど、将来の暮らしを見据えた判断が可能になります。
家族間トラブルを防げる
認知症が進んだ段階で財産管理が始まると、家族同士の認識や温度差により不信感が生まれやすくなります。
家族信託は、
- 誰が管理するのか
- 何に使うのか
- いつどう承継させるのか
を信託契約で明確に決めておくため、感情的な衝突を未然に防げます。
将来の遺産分割トラブルの予防にもつながります。
お金の流れを明確にしておくことができるんですね。
費用を抑えられる
成年後見制度は、後見人報酬として月2万〜6万円程度が必要になります(資産額により増加します)。さらに、成年後見監督人が付けば別途報酬が必要です。
家族信託では、受託者が家族であれば毎月の報酬はゼロが一般的。
専門家に依頼する場面は必要なときだけなので、長期的な財産管理に向いています。
※初期費用はかかります。
名義を変えても贈与税がかからない
家族信託には税務上のメリットもあります。信託契約を結ぶと、不動産や預金といった財産の名義は、管理を託された子(受託者)に変わります。
信託によって名義が変わっても、贈与税は発生しません。
名義が変わると贈与税が発生するのが通常ですが、家族信託は管理権を移すだけであり、利益を受け取る権利(家賃収入や預金利息など)は親(受益者)のままだからです。
税負担を心配せず、将来の財産凍結対策ができます。
※信託財産が相続されると、相続税の対象になります。
生前対策と相続対策をひとつで完結できる
従来の「遺言」は、亡くなった後の財産の分け方を指定するものですが、生前の判断能力がなくなった時の財産管理については何もできません。
一方、家族信託は、まさにこの「判断能力を失ってから亡くなるまで」の空白期間をカバーするための制度です。、信託契約書には「親が亡くなった後、信託した財産を誰に承継させるか」をあらかじめ指定できるため、信託した財産については遺言の代わりとして機能させることも可能です。
- 生前の資産凍結対策
- 死後のスムーズな相続
の両方を一本化することが可能です。
成年後見制度と家族信託の比較
以上をふまえて、成年後見制度と家族信託の違いを以下の表にまとめました。
| 成年後見制度 | 家族信託 | |
|---|---|---|
| 目的 | 本人の財産を保護する | 財産を柔軟に活かしながら 承継まで管理する |
| 財産の使途 | 本人の利益のために限定 | 契約内容に応じて、 家族・次世代のためにも利用できる |
| 口座の扱い | 本人・家族は取引不可。 後見人のみが管理できる | 講座凍結を防止できる。 受託者(家族等)が継続して管理できる |
| 判断能力低下後の財産活用 | 不動産売却・資産組換えなどは原則制限 裁判所の許可が必要 | 契受託者判断で柔軟に実行 |
| 死亡後の仕組み | 遺産分割へ移行 | 承継先を事前に指定でき、 遺産分割不要・争族予防になる |
| 費用 | 報酬が発生 (月2~6万円程度。監督人が付けばさらに増) | 家族が受託者なら原則報酬なし 専門家サポートは必要時のみ |
| 家族の自由度 | 低い(家庭裁判所の厳しい監督下) | 高い(契約内容に沿って運用) |
以上のことから、成年後見制度が向いているのは「本人を外部の専門家の管理下で保護したい場合」、家族信託が向いているのは「家族で協力しながら財産管理・活用・承継を行いたい場合」です。
家族の状況によって、どちらがいいかを考える際の参考になさってください。
我が家が家族信託を検討した理由
うちは、父に認知症の症状が出てきたのですが、その時に気になったのが生活費の管理です。
銀行の普通口座にすべてのお金が預けられており、それを自分で日々ATMで引き落としていることがわかりました。1日にATMの限度額20万円マックスまで引き出す日が月に数回あることもあり、使い道は不明です。

複数の銀行のカードを1つの財布に入れっぱなしにしてあり、もしお財布を落としたら?暗証番号を後ろからのぞかれていてカードを盗まれたら?と不安になりました。
悪い人にこの老人はお金を持っていると目を付けられたら、全財産が一気にゼロになる可能性だってあります。父に言ってもそんなヘマはしない、暗証番号の管理ができないやつとは違う、気を付けるから大丈夫だとの一点張りで聞く耳を持ちません。
せめてすぐに使わないお金は定期預金に入れることを提案したのですが、
そんなわけのわからないことをしたら逆に危ないんだ!
と完全拒否。
将来的に介護施設に入居するときの資金として、すぐに使わないお金は別に管理したいと思ったのがきっかけです。
家族信託であれば、第三者が間に入って手続きを踏んでいくため、私の言うことを聞かない父で、専門家のいうことなら話を聞くのではないかと思ったのも理由の1つです。
家族信託の疑問解決
ここでは、家族信託に関する疑問にお答えします。
家族信託何からすればいい?
家族信託という制度があることを知ったけど、もっと深く知りたい、詳しく話を聞きたい、具体的な手続きや費用をしりたいという場合、「おやとこ」というサービスがあります。
「おやとこ」は、家族信託を知識ゼロの人にもわかりやすく説明してくれて、自分の家庭に必要かどうか判断できるような情報提供をしてくれます。
家族の状況・財産・希望に応じて、信託が有効か、どんな形が向いているかを整理し、
さらに公正証書作成や信託口座開設・不動産登記手続きなど厄介な手続きの完了までサポートしてくれます。
私もオンラインで無料説明を受けましたが、メリット・デメリットも含めて我が家の状況に合わせてヒアリング、案内してくれたので助かりました!
私は資料請求のあとオンライン相談を受けましたが、その後もしつこい勧誘などなく、対応も印象がよかったです。
親が認知症になってからでは遅い?
私の親も認知症診断を受けて結果待ちの時に家族信託の存在を知り、「おやとこ」にコンタクトを取りました。
認知症の症状が出ていたら家族信託はできないのでは?と不安だったのですが、おやとこの担当者が面談(オンライン・対面)でのやり取りで判断能力があるかどうかを見て、可能と判断すれば家族信託を利用できるとのことでした。
まだ父には話せていないので、タイミングを見て父との面談に進めたいと思っています。
とはいえケースバイケースですので、まずは聞いてみてください。
ただ、話を進める中で数か月で親御さんの症状が進んでしまい、最終的には家族信託を利用できなかった方もいると伺いました。
少しでも気になるなら、症状が進む前に早めに検討したほうがいいですよ!まずはオンラインでの無料説明を受けて、その上で判断されてくださいね。
いつから利用できる?
認知症に関係なく、親が元気なうちから家族信託はできます。
むしろ、時間に余裕があるのでじっくりゆっくり進められますので、親がしっかりしているうちに家族で話し合っておくことをおすすめします。
「もし今後判断能力がなくなってしまう事態になってしまったら」という前提で備えておくことができます。
家族(受託者)の負担が大きそう
「家族信託は良さそうだけど、財産を託される家族(受託者)の負担が大きそう…」と感じる方もいるかもしれません。確かに、受託者には信託された財産の収支を記録し、年に一度、親(受益者)へ報告する義務が法律で定められています。
しかし、この負担はテクノロジーで大幅に軽減できます。おやとこでは、おやとこの利用者限定で家族信託の財産管理をサポートする専用アプリを提供しています。アプリを利用すると帳簿や報告書を自動生成できたり、銀行口座と連携して入出金の記録を自動で取り込んだり、家族間で情報を共有することができます。
このようなテクノロジーを活用することで、受託者の負担を減らし、家族間の信頼を維持しながら、安心して財産管理を続けることができます。
成年後見制度と家族信託以外の選択肢はある?
成年後見制度よりもゆるやかな、任意後見制度というものがあります。
我が家も、もし父に家族信託に同意してもらえなかったら、次の選択肢として任意後見制度も検討しようと思っています。
また、家族信託と任意後見制度を併用することもできます。
こちらも公正証書作成などの手続きを踏む必要があり、家族信託と同様に「おやとこ」がサポートをしてくれます。任意後見制度については追って別記事で詳しく解説する予定です。
家族信託にはデメリットはない?
家族信託には正直懸念事項もあります。。
我が家は家族信託を検討中ですが、いくつか気になることがあります。
まず、信託する財産はすべてではなく一部のみを指定することもできるのですが、信託財産以外は管理の対象外となるということ。たとえば不動産は信託対象として外した場合、不動産の売却はできません。
信託する財産の対象も、事前によく検討する必要があります。
また、家族信託には身上監護の代理権がないため、施設入居の契約を親に代わって行うことはできません。その場合は、事前に任意後見制度と併用できるようにしておき、判断能力が失われたら任意後見を発動させることもできます。
家族信託を検討されたい方へ

親の将来を考えるとき、相続だけでなく、その前に訪れるかもしれない「判断能力の低下」と「資産凍結」というリスクに目を向けることが極めて重要です。
家族信託は、高額で制約の多い成年後見制度とは異なり、家族の意思を尊重しながら、柔軟に資産管理を続けることができる画期的な方法です。しかも、成年後見制度の約3分の1ほどの費用感で、大切な資産を守ることができます。
ただ、仕組みが複雑で一歩踏み出せない人が多いのも事実なんですよね。
「おやとこ」は制度をわかりやすく教えてくれて、自分の家庭に必要か・どんな形が合うかを整理できるサービスです。
気になる方はまずは資料請求・無料相談をすることをおすすめします。