障害者控除対象者認定書は毎年必要?要介護1の父で調べた体験談
「障害者控除対象者認定書は毎年申請しなければいけないの?」「去年もらった認定書は今年も使える?」「要介護1でも対象になるの?」と疑問に思っていませんか。
親の介護が始まると、年末調整や確定申告で利用できる制度があると知っても、自治体によって手続きが異なるため、何をすればよいのか迷ってしまいます。
この記事では、障害者控除対象者認定書は毎年必要なのかをはじめ、対象者や申請方法、年末調整・確定申告での使い方を解説します。同じように親をサポートしている方が制度を正しく理解し、受けられる控除を逃さず活用できるようお役立てください。
- 障害者手帳がなくても対象、要介護1でも認定されるケースがある
- 控除額は所得税27万円(特別障害者40万円)・住民税26万円(同30万円)。税率10%なら年5万円前後の減税に
- 別居の親でも、親本人の確定申告で使える
- 過去分の認定書を発行してもらえれば最大5年分戻る可能性も
この記事は、ささ美の友人で、税理士事務所に勤務するらくちゃんが監修しています。
- 税理士事務所15年勤務(現役)
- 確定申告・年末調整の実務サポート経験
税金の制度は複雑で、自治体や個々の事情によって変わることもあります。この記事では、15年の実務経験による知識をもとに内容を確認しています。
障害者控除対象者認定書は毎年必要?
障害者控除対象者認定書について調べていると、「毎年申請が必要なの?」「去年の認定書は使えないの?」と疑問に思う方も多いでしょう。
ここでは、毎年申請が必要とされる理由や、前年の認定書が使えるのかについて解説します。
結論|自治体によっては対象年ごとに申請が必要
障害者控除対象者認定書を毎年申請する必要があるかは、自治体によって異なります。
対象となる年ごとに申請が必要な自治体がある一方で、認定を受けた方の心身の状態に変更がなければ、同じ認定書を翌年以降も使用できる自治体もあります。そのため、「一度取得すればずっと使える」「必ず毎年申請する」と一律にはいえません。
まずは、認定を受ける本人が住んでいる市区町村のホームページや担当窓口で、認定書の有効期間と申請の要否を確認しましょう。
対象年ごとの申請が必要な自治体もある
障害者控除の対象になるかどうかは、原則として対象となる年の12月31日現在の状態などをもとに判断されます。そのため、自治体によっては対象年ごとに申請し、要介護認定の資料や心身の状態を改めて確認する運用となっています。
一方で、障害の状態に変更や消滅がなければ、前年に交付された認定書を翌年以降も使える自治体もあります。
申請方法は全国共通ではないため、前年に認定書を取得していても、翌年の手続きが必要か自治体へ確認することが大切です。
前年の認定書は今年も使える?
前年の認定書を今年も使えるかは、自治体の運用や認定書の有効期間によって異なります。
対象年が限定されており、毎年新しい認定書の申請が必要な自治体もあります。一方で、認定を受けた方の心身の状態に変更がなければ、同じ認定書を翌年以降も使用できる自治体もあります。
認定書に記載された対象年や認定基準日、有効期間を確認したうえで、分からない場合は本人が住んでいる市区町村へ問い合わせましょう。
障害者控除対象者認定書とは
障害者控除対象者認定書は、名前だけを見ると障害者手帳と同じようなものだと思われがちですよね。
以下に、障害者控除対象者認定書と障害者手帳の違いをまとめてみました。
| 障害者控除対象者認定書 | 障害者手帳 | |
| 目的 | 所得税・住民税の障害者控除を受けるため | 福祉サービスや各種支援制度を利用するため |
| 交付するところ | 市町村長・特別区長・福祉事務所長等が認定し、市区町村等が交付 | 手帳の種類によって異なり、都道府県・指定都市・中核市などが認定・交付 |
| 対象者 | 原則65歳以上で、障害者に準ずる状態と市町村長等が認定した方 | 各手帳の法令・実施要領・自治体の認定基準を満たす方 |
| 要介護認定との関係 | 要介護認定だけでは対象にならないが、心身の状態が基準を満たせば認定される場合がある | 要介護認定とは別制度。要介護認定を受けても自動的には交付されない |
ここからは、障害者手帳との違いや対象者、要介護1でも認定されるケースについて順にお伝えします。
障害者手帳との違い
障害者控除対象者認定書は、税金の障害者控除を受けるために市区町村が交付する書類です。一方、障害者手帳は障害福祉サービスや各種支援制度を利用するために交付されるもので、目的が異なります。
そのため、障害者手帳を持っていなくても、心身の状態が一定の基準を満たしていれば、障害者控除対象者認定書の交付を受けられる場合があります。
特に高齢者では、認知症や寝たきりなどの状態により認定されるケースも少なくありません。「手帳がないから障害者控除は受けられない」と思い込まず、一度自治体へ確認してみることをおすすめします。
誰が対象になる?
障害者控除対象者認定書の対象となるのは、障害者手帳を持っていない高齢者でも、障害者控除に相当する状態と市区町村が認めた方です。
具体的には、認知症によって判断能力が低下している方や、寝たきりなどで日常生活に大きな支障がある方などが対象になる可能性があります。
ただし、「要介護認定を受けている人すべて」が対象になるわけではありません。要介護度だけで判断されるのではなく、介護認定資料や主治医意見書などをもとに自治体が総合的に判断します。対象となる基準は自治体によって異なるため、詳しくは親が住んでいる市区町村へ確認しましょう。
要介護1でも対象になるケースがある【体験談】
私も最初は、「父は要介護1だから障害者控除の対象にはならないだろう」と思っていました。しかし、市役所の制度を調べたところ、要介護度だけで対象かどうかが決まるわけではないことを知りました。
父は要介護1ですが、自治体が公表している基準を確認すると、障害者控除対象者認定書の対象になる可能性があることが分かりました。ただし、令和8年分の申請は年明けからとなるため、現時点ではまだ認定書を取得していません。
また、私は父と同一生計ではないため、私自身の障害者控除には使えません。一方、父には不動産収入があり毎年確定申告をしているため、認定書が交付されれば、父本人の確定申告で障害者控除を受けられます。同じように「要介護1だから対象外」と思っている方も、まずは親が住んでいる市区町村の制度を確認してみてください。
障害者控除対象者認定書の申請方法
障害者控除対象者認定書は、申請が必要な自治体がある一方、条件を満たす方へ自動的に交付する自治体もあります。申請方法や交付の仕組みは自治体によって異なるため、まずは親が住んでいる市区町村の制度を確認しましょう。
ここでは、申請先や必要書類、遠方から手続きを進める際の確認ポイントを解説します。
申請先は親が住んでいる市区町村
障害者控除対象者認定書は、原則として、対象となる親が住民登録をしている市区町村へ申請します。子が住んでいる市区町村では手続きできないのが一般的なため、遠方で暮らす親の場合は申請先を間違えないよう注意しましょう。
申請窓口は、高齢福祉課や介護保険課など、自治体によって名称が異なります。申請書をホームページからダウンロードできる自治体のほか、窓口での受け取りや郵送での取り寄せに対応している自治体もあります。
ただし、施設入所などにより住民登録地と介護保険の保険者が異なる場合は、通常と取り扱いが異なる可能性があり、まずは自治体のホームページや担当窓口で、申請先を確認しましょう。
必要書類と代理申請の確認ポイント
必要書類は自治体によって異なりますが、申請書のほかに、対象者の介護保険被保険者証や申請者の本人確認書類などを求められることがあります。
親が自分で手続きするのが難しい場合は、家族が代理申請できる自治体もあります。ただし、対象者との関係や同居の有無によっては、委任状や代理人の本人確認書類が必要です。「家族だから委任状は必要ない」とは限らないため、事前に確認しておきましょう。
必要書類をそろえてから申請すれば、書類の不足による再提出を防ぎやすくなります。
遠方介護なら郵送申請できるか確認する

親が遠方で一人暮らしをしている場合、申請のために市区町村の窓口まで出向くのは大きな負担です。自治体によっては、申請書と必要書類を郵送して申請できるほか、電子申請に対応している場合もあります。
ただし、利用できる申請方法や必要書類は自治体ごとに異なります。郵送申請では返信用封筒や切手が必要になるケースもあるため、送付前に確認しましょう。
私も父が遠方なため、メールで問い合わせたところ郵送で手続きできるとのことでした。
手続きのためだけに実家に出向くのは大変ですから、負担が減るのは助かります!
家族が郵送で申請する場合は、申請者の身分証写しの同封が必要とのことでしたがこれは自治体によって異なると思います。まずは親が住んでいる市区町村へ、郵送や電子申請が可能か問い合わせてみましょう。
年末調整・確定申告前に早めに申請する【体験談】
障害者控除対象者認定書の申請時期は自治体によって異なります。対象となる年の11月ごろから申請できる自治体がある一方、12月31日時点の状態を確認するため、翌年1月以降に受け付ける自治体もあります。
また、申請から認定書の交付まで1~3週間ほどかかる自治体もあるため、確定申告の直前になって調べ始めるのではなく、申請できる時期を早めに確認しておくことが大切です。
私が父の住む市役所へ確認したところ、令和8年分は年が明けてから申請できると案内されました。そのため、年明けに申請し、父本人の確定申告で障害者控除を受けられるよう準備する予定です。
障害者控除対象者認定書は年末調整・確定申告でどう使う?
障害者控除対象者認定書が交付されたら、年末調整や確定申告で障害者控除を申告します。控除を適用すると課税対象となる所得が減るため、所得税や住民税が課税されている方は、税負担を軽減できる可能性があります。
ここでは、年末調整と確定申告での使い方や、過去分の手続きについて解説します。
年末調整で使う場合
会社員など年末調整を受ける方は、勤務先へ障害者控除を申告します。対象となる親が税法上の扶養親族に該当する場合は、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の障害者欄などに必要事項を記入し、勤務先の案内に従って手続きを行いましょう。
勤務先からは、障害者控除対象者認定書の提示や写しの提出を求められることがあります。原本は大切に保管し、どのような確認書類が必要か、勤務先の給与担当者へ確認しておくと安心です。
認定書を対象年の翌年からしか申請できない自治体では、年末調整に間に合わない場合があります。その場合は、翌年の確定申告で障害者控除を申告できます。
本人が確定申告する場合も使える【体験談】
障害者控除は、障害者に該当する親を扶養している家族だけの制度ではありません。障害者本人が確定申告をする場合も、障害者控除対象者認定書を使って控除を受けられます。
私の場合、父とは生計を一にしていないため、私の所得から父について障害者控除を受けることはできません。しかし、父には不動産収入があり、毎年自分で確定申告をしています。
市役所へ確認したところ、父本人が障害者控除対象者認定書の交付を受ければ、父自身の確定申告で障害者控除を申告できることが分かりました。「親を扶養していないから関係ない」と思っている場合でも、親本人が所得税や住民税を申告しているなら、制度を利用できないか確認してみましょう。
過去分も申請できる?
自治体によっては、過去の年分について障害者控除対象者認定書を申請できる場合があります。当時の心身の状態などが認定基準を満たし、税金を納め過ぎていれば、過去の所得税が還付される可能性があります。
手続きは、過去に確定申告をしたかどうかで異なります。確定申告をしていなかった方が還付を受ける場合は還付申告、すでに確定申告をしたものの障害者控除を入れていなかった場合は、原則として更正の請求を行います。
申請できる過去の期間や認定条件は自治体によって異なります。更正の請求は原則として法定申告期限から5年以内に行う必要があります。まずは市区町村へ過去分の認定書を申請できるか確認し、その後、税務署へ必要な税務手続きを相談しましょう。
障害者控除対象者認定書を利用するメリット
障害者控除対象者認定書を利用するメリットは、所得税や住民税が課税されている場合に、税負担を軽減できる可能性があることです。
障害者控除の控除額は、所得税では27万円(特別障害者は40万円)、住民税では26万円(特別障害者は30万円)です。実際に減税される金額は所得や税率によって異なりますが、例えば、所得税率が10%の場合、所得税約2万7,000円と住民税約2万6,000円を合わせて、約5万3,000円が税負担が軽くなるケースもあります。税負担が減れば、その分を介護費や生活費に充てやすくなるでしょう。
また、税法上の扶養親族に該当する家族だけでなく、認定された本人が確定申告をする場合にも利用できます。ただし、所得税や住民税がもともと課税されていない場合などは、認定書を取得しても税額が変わらないことがあります。
「自分たちには関係がない」と決めつけず、本人や家族の所得・申告状況を確認したうえで、利用できるか自治体や税務署へ相談してみましょう。
障害者控除対象者認定書に関するよくある質問
障害者控除対象者認定書について調べていると、「毎年申請しなければならないの?」「要介護認定だけで控除を受けられる?」など、さまざまな疑問が出てきますよね。
ここでは、障害者控除対象者認定書に関するよくある質問に回答します。
Q1.毎年必ず申請しなければいけませんか?
A1.毎年申請が必要かどうかは、自治体によって異なります。対象年ごとに新しい認定書の申請が必要な自治体がある一方、心身の状態や認定区分に変更がなければ、前年の認定書を翌年以降も使える自治体もあります。
対象者へ認定書を自動的に送付する自治体もあるため、一律に「毎年申請が必要」とはいえません。親が住んでいる市区町村へ、申請の要否や認定書の有効期間、申請できる時期を確認しましょう。
Q2.要介護認定だけで障害者控除は受けられますか?
A2.いいえ、要介護認定を受けているだけでは、障害者控除の対象になりません。要介護度とは別に、認知症や寝たきりなどの心身の状態が障害者に準ずると、市町村長等から認定される必要があります。
判定方法は自治体によって異なり、介護認定資料や主治医意見書、独自の調査票などが使われる場合があります。要介護度が重くても認定されないことがある一方、要介護1でも心身の状態が基準を満たせば対象になる可能性があります。
Q3.認定書をなくしたらどうなりますか?
A3.認定書を紛失した場合は、交付を受けた市区町村へ連絡しましょう。自治体によっては、再発行の申請ができます。
再発行の方法や必要書類は自治体ごとに異なり、交付までに日数がかかることもあります。年末調整や確定申告で使用する予定がある場合は、紛失に気付いた段階で早めに担当窓口へ確認してください。
Q4.申請が遅れたらどうなりますか?
A4.年末調整に認定書が間に合わなかった場合でも、翌年の確定申告で障害者控除を申告できます。自治体によっては過去分の認定書を申請でき、所得税を納め過ぎていれば還付を受けられる可能性もあります。
過去に確定申告をしていなければ還付申告、すでに申告を済ませて障害者控除を入れていなかった場合は、更正の請求が必要になることも。まずは市区町村へ認定書の交付について確認し、税務手続きについては税務署へ相談しましょう。
Q5.障害者控除対象者認定書にデメリットはありますか?
A5.障害者控除対象者認定書を取得すること自体による税務上の不利益は、通常ありません。ただし、申請しても必ず認定されるとは限らず、自治体によって申請時期や必要書類、有効期間が異なります。
所得税や住民税がもともと非課税の場合は、認定書を取得しても税負担が変わらないことがあります。デメリットというより、申請前に確認しておきたい注意点と考えるとよいでしょう。
まとめ|障害者控除対象者認定書は毎年必要か確認し、早めに申請しよう
障害者控除対象者認定書を毎年申請する必要があるかは、自治体によって異なります。対象年ごとに申請が必要な自治体がある一方、心身の状態や認定区分に変更がなければ、同じ認定書を翌年以降も使える自治体もあります。
申請時期や認定基準、必要書類も自治体ごとに異なるため、まずは対象となる親が住んでいる市区町村へ確認しましょう。障害者手帳を持っていなくても対象になる場合があり、要介護1でも心身の状態が基準を満たせば認定される可能性があります。
私も父の制度を調べたことで、生計を一にしていない私は父について障害者控除を受けられないものの、認定書が交付されれば、不動産収入があり毎年確定申告をしている父本人の申告で利用できることが分かりました。
制度を知らずに申告しなければ、受けられる控除を逃す可能性があります。申請できる時期や手続き方法を早めに確認し、年末調整や確定申告に備えましょう。